小路 幸也『ラブ・ミー・テンダー 東京バンドワゴン』

我南人とその妻・秋実の出会いを描く番外編という位置づけのようですが、語り部はいつものようにサチ(生前)なのでさほど「番外編」という感じはなかった。
でもまだアキとサチ(犬のほう)が存在しないので、猫を含め堀田家の動物たちに注目して(年齢のこととかあるしね・・・)読んでいる私としては、物足りないというか、スカスカ感(シリーズでは人と動物でみっちみち状態の堀田家なので)を覚えなくはなかったです。
これまでさして具体的に“想像”したことはなかったものの、それでも秋実さんのイメージはだいぶ違ったなぁ。もっとこう・・・儚げな感じの女性のイメージだったし、年齢差だけみればそうでもないものの女子高生ってのはなんかちょっと「お、おう」って感じ。
そしてこれってシリーズで語られた覚えないんだけど、我南人が独特の喋り方をするようになった理由はちょっと驚き。なんとなく誰かに対してこういう喋り方をしたこと(そうすることで誰かを救えた、とか)が発端なのかなとか思っていたので、こういっちゃなんだけどそんな普通の理由だったのかと。そういう少年がこういう出会いをし、そしてああいう超人めいたオッサンになるってのはいかにも物語で、だからこそ物語なんだな。