馳 星周『煉獄の使徒』

煉獄の使徒〈上〉

煉獄の使徒〈上〉

煉獄の使徒〈下〉

煉獄の使徒〈下〉

某教団が起こした地下鉄サリン事件を下敷きにした作品ですが、一連の流れをどちらも悪人である教団弁護士と教団を食いものにする悪徳公安刑事の視点で描いたのが特徴と言えば特徴でしょうか。似たようなタイプの作家さんが同じように現実を元にした作品を何作か発表してますが、それと比べたら遥かに馳色は出てると思います。現実を下敷きにしているだけに結末は見えてしまうことを踏まえてか、ラスト5分の1あたりからはかなり駆け足で荒っぽい印象を受けましたが、久々に馳小説を読んだ!という充実感は味わえました。