湊 かなえ『少女』

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

前作よりは毒が足りなくて一見小粒に思えますが、容赦のなさ、陰湿さ、残酷度はこちらの方が上だと思いました。

以下、内容に触れてます↓↓


 

「人の死が見たい」と願う二人の少女の心情を綴った物語だと読む前に聞いていたのですが、確かに「人の死が見てみたい」と女子高生が奮闘(まさに奮闘って感じなんだもの)する話ではあるのですが、その理由というか、そう思った根底には『友達に負けたくない』という想いがあるのは共感とまではいかずとも納得できると思ったし、ハッピーエンドになるかと思ったらひっくり返されるラストはこの物語の裏テーマにあたる(と私は思った)『因果応報!地獄に堕ちろ』ってのを見事なまでに描いてみせたなと思いました。しかもこれ同級生に対して、だもんなぁ・・・。そしていずれきっとこの二人も・・・・・・ということでしょう?。性別を限定してしまうのは強引かもしれませんが、この容赦なさと残酷さってのはやはり女ならではだと思う。仕掛けた割りに効果の程が薄かった病気の少年二人のトリック・・・っていうほどでもないけど、いわゆる誤認も、少女本人が言ってるように見た目が綺麗で儚げな少年かどうかってのはその子の「死」を彩るとても重要な要素だと思うので酷い言い方ですがアリ、だと思います。


それから、作中で出てきたようにタッチー&昴に似た名前の某二人組のアイドルが二人揃ってこんな題材の吹き替え仕事をしてくれたら歓喜のあまり泣きますが、実際にはまずないであろうことが地味に泣けました(笑)。