大沢 在昌『影絵の騎士』

影絵の騎士

影絵の騎士

21世紀半ばの東京。スラム化した<B・D・T>で生まれそだった混血児は<ホープレス>と呼ばれ、かつてホープレスナンバーワンの探偵と呼ばれたケンは、新宿病と呼ばれる奇病に犯されたエミィの最期を看取るためオガサワラに移住し、エミィが逝った後は静かに、そして抜け殻のように日々を送っていた。そんなある日、ケンの元に旧友でありホープレスの出世頭である売れっ子作家のヨシオが現れ、東京湾に浮かぶ日本版ハリウッドというべき<ムービー・アイランド>での仕事を依頼する。3年ぶりに社会へ戻ったケンは、<ネットワーク>と呼ばれるテレビ機構が社会を動かしていることに驚く。レーティング(視聴率)を稼ぐために犯罪すらも自らの手で作り出そうとする<ネットワーク>。そしてそれを支える<フィックス>と呼ばれる謎の組織。探偵は単身<ムービー・アイランド>へ上陸する。


「B・D・T」の続編という形になるのでしょうが、・・・・・・読んだはずなのに全然覚えてない・・・それでも普通に読めましたけど。
殺人事件すら殺人そのものはノンフィクションでも事件はフィクションで、そのことを分かった上で楽しんでる世間というか、一般大衆。ちょっと近未来っぽくはあるんだけど、さほど無茶な設定というほどでもなく思いっきり伸ばせば手に届くかどうかギリギリってぐらいの未来感の中で、主人公がワイルドに活動する様をはいはいカッコいいカッコいいと半笑い浮かべながら楽しむというその構図が、物語の中で描かれている虚構の世界とそれを分かって楽しむ一般大衆という世界とちょっとダブるな。

最近の大沢作品は痒いところに微妙に手が届かない感じがしてもどかしいです。、さすがに枯れてきたかな・・・。