本多 孝好『正義のミカタ』

正義のミカタ―I’m a loser

正義のミカタ―I’m a loser

高校時代、ただのいじめられっ子ではなく“かなりのいじめられっ子”だった蓮見亮太は、高校3年の春にこのままじゃいけないと決意し1年間努力と準備を重ね、ついに大学生になった。これでようやく生まれ変わるチャンスを得たと思ったのに周到に進路を調べたはずのいじめっ子同級生も同じ大学に進学したことを知り、絶望したところを桐生友一と名乗る男に救われ、とある部室へと連れて行かれる。その部とは、“正義の味方研究部”。活動内容は正義とは何かを研究し、それを大学内で実践すること。いじめられっ子として過ごす間に身についていた能力で入部を認められた亮太は、仲間と呼べる存在を得て、好きな女の子までも出来、ようやく人並みの青春を謳歌できる喜びをかみ締める。


面白かった!すっごく面白かったです。この人の作品を読むのは久々なのですが、物事を20度ぐらい斜め後から見てる感じがするというか、内容に関わらず、物語から受ける印象がひんやりと冷めてる・・・そういうものを書く人だと思ってたのに、真っ直ぐで熱い青春物語だったんでほんとに驚いた。何度かここで捻ってくるかなーって思うところがあるんだけど、その度ごとに真ん中の広い道を選ぶ潔さに驚きました。読んでて気持ちが良かったです。一番良かったエピソードは、亮太の父親のエピソード。二人の距離感もよかった。私も社会的には下・・・辛うじて下の上ではあるかな・・・中の下よりは下の上のが気分的にいいよな・・・ぐらいのレベルなんで、なんだか励まされたというか、いい気分になれた。具体的に何をってわけじゃないんだけど、明日も頑張ろうかなって気分になりました。