芦原 すなお『青春デンデケデケデケ』

青春デンデケデケデケ (河出文庫―BUNGEI Collection)

青春デンデケデケデケ (河出文庫―BUNGEI Collection)

1965年の春休み。机の上の棚に置いたラジオから流れるデンデケデケデケ〜という音を聴いたぼくは、つむじから爪先に電流が走るのを感じた。ベンチャーズの<Pipeline>によってぼくの高校生活は決められた。四国の田舎町の高校生たちが繰り広げるロックと友情と恋の物語。


舞台対策で読んだので、当然キャストを登場人物に当てはめての読書でしたが・・・・・・あの子らこんなん出来るのかー!?というよりもこれ讃岐弁じゃないと雰囲気でないと思うのですが、小説の中では讃岐弁のあとに通訳(笑)があるんで分かりますが、実際この調子でこのセリフ言われたら絶対分からないと思うわ。特に富士男は大変だろうなぁ・・・依くん大丈夫だろうか・・・。
とそんなことを考えながら読んだのですが、感想は一言、可愛かった!!それに尽きる。楽器もないのに、やーっぱりロックでなけらいかん!(やっぱロックだぜ!)と叫び、バイトしてお金を貯めて楽器を手にして初めてアンプに繋いで音を出した瞬間の感動が私にも伝わってくるような瑞々しさ。きっとその瞬間の気持ちは一生忘れることがないんだろうな・・・とちょっと羨ましい気持ちになり、青春って、音楽って素晴らしい!なんてちょっと恥ずかしいことをつい思ってしまう。この物語はあれから20年以上経った現在にあの頃を思い出して書かれている形だから、辛かったことや苦しかったこと、悩みごとなんかも含めて、大人になった今だからこその素敵な思い出として描かれている。そのせいか、ちょっと前に舞台は現代だけど同じように高校生がバンドを結成し、文化祭のステージに立つ話を読んだのですが(越谷オサムさんの「階段途中のビックノイズ」)それに比べるといい意味で物語に余裕があるなという感じがしました。それから、映画「ロックよ、静かに流れよ」のことも思い出して、いつの時代もロックに賭ける青春の熱さと素敵さは不変だよな・・・なんて思ってちょっと泣きそうに・・・(この映画好きすぎるので)。
舞台が成功するように祈ります!頑張れQ、いっぱい頑張れ。