伊岡 瞬『145gの孤独』

145gの孤独

145gの孤独

プロ野球選手として活躍していた倉沢は、試合中のほんのちょっとした気の緩みから起こした死球事故が原因で現役を引退。その後、人に誘われ便利屋稼業に。業務の一環として始めた「付き添い屋」の依頼で倉沢の元を様々な人間が訪れる。


横溝賞を受賞した前作もこのパターンだったし、この人って本当は出来る男なのにちょっとした人生のエアポケットに入ってしまったばかりに今は落ちぶれちゃった男ってのが好きなんだろうか。いや別にそれが悪いわけじゃないですし、それなりにキャラ立ちはしてるんですけども、それほど見た目が悪いわけじゃなく女っ気がないわけでもなく普段はやる気がなさそうにしてるわりにはやる時はやる実は熱い男、そして口は悪い。なんだかちょっと恥ずかしくなるほど真っ当なハードボイルドキャラなんだよな。読んでて照れる。ただなーんとなくのイメージですが、野球選手に関わらずプロになれるようなスポーツ選手ってここまでひねくれてないとは思うけど。
前半はザ・ハードボイルド小説なのですが、気がつくとこれまた定番、心の“封印する力”な物語に変わってて、あれれ?とちょっと驚いた。え?そういう話なの??って。てっきり勝てると思ってたのにあれよあれよと言う間に気がついたら3点取られて負けてました・・・ってぐらいあっという間の方向チェンジでした。今頭の中サッカーでいっぱいなんで、世間的にはもはや既に過去の話題だろうがなんだろうがサッカーで例えてみました。分かりにくくてごめんなさい。
でもこの融合(物語の展開)はちょっと新しいかも。