『團菊祭 五月大歌舞伎』@歌舞伎座

團十郎様、復帰おめでとうございます。
外郎売が始まると客席が異様な雰囲気で、花道から團十郎さんが登場するまでの間、今にも割れそうな風船のごときボルテージ。そしてついに花道から團十郎さんが登場し、その口から第一声が出た瞬間は、大向こうの嵐と割れんばかりの拍手という感じで、鳴り止まない拍手でセリフが聞こえないぐらいでした。一回り身体が小さくなってしまったようだし、声にも張りがなかったけれど、とにもかくにもこの舞台に戻ってきてくれたとうことだけでとりあえずは充分という気分。
途中で團十郎さんと菊五郎さんによる口上があるのですが、菊五郎さんがとにかく穏やかにニコニコと嬉しそうに見守ってらっしゃいまして、他の出演者も観客も歌舞伎座全体が嬉しくてたまらない、という空気で、胸が熱くなった。團十郎さんが無事に千秋楽まで勤められますように、と心から願います。


『江戸の夕映え』
元・三之介が揃ってご出演でございました。心配してた激太り菊ちゃんは、頬と首の境目が曖昧ではございましたが、そのぽっちゃり感がおりきとしてはかえってよかったかも。黒いお着物をお召しになった菊ちゃん色っぽかったわー。
そんな菊ちゃんとは対照的に久々に見た海老様は激ヤセしてらっしゃいました。噂には聞いていたけれど、頬こけてるやん!これもまた小六の荒んだ雰囲気によく合ってまして、ちょっとうつむき加減で徳利を傾ける海老様にウットリ。海老・菊の絡みは全くと言っていいほどなく、でもそれはそれでもどかしい感じが致しまして、心の中でギャー!
松緑は思いのほか良かったです。素直な感じがして、すごく良かった。色気があったし、それまでちょっと(物語が)ダルイなーと思ってたんだけど、最後の大吉さんの号泣でぎゅっと締まった感じがした。
それぞれ別々で舞台に立ってると、そんなことは思わないんだけど、メインで三人揃うとなるとやっぱり迫力に欠けるなぁという印象。初日だからということもあるとは思いますが、まだまだ余裕がないから見てて疲れちゃう。一番(いい意味で)楽に見られたシーンは萬次郎さんが語るシーンでした。パルコ歌舞伎に引き続き、萬次郎さんイイヨイイヨーという感じ。


『雷船頭』
松緑が粋でした。「江戸の夕映え」の大吉もそうだったし、今回松緑に色気を感じたわけですよ。ちょっと松緑よ!?大丈夫か自分!?とちょっと動揺・・・・・・。
右近は頑張れ。期待してるから頑張れ。


権三と助十』
とにかくもうグダグダ(笑)。その前の「外郎売」でやっぱり意識してなくとも息詰めてたところがあったせいか、演る側も見る側も肩の力抜けまくりという感じ。でもその空間が菊五郎劇団ならではという感じで面白かった。菊五郎さんと権十郎さん笑いすぎ(笑)。とにかく左團次さんがセリフ入ってなくて、テンポ悪いことこの上なかったわけですが、菊五郎三津五郎コンビが良いもんで、まぁいいや面白いし(笑)という感じでした。時蔵さんが頑張ってらっしゃいました。あたしがよく見る時蔵さんとは違うタイプの役でしたが、菊五郎さんとの掛け合いもピッタリで、なんだか可愛かった。松也は一人飲まれまくっててちょっと可哀想でした。台詞も飛ばされてたっぽいし、まーこれも経験ですよ。松也頑張れ、超頑張れ。最後の最後で登場した田之助さんに菊五郎さんが言った「台詞の少ない役でよかったねぇ」が全てでしたね。
ていうか、猿・・・(涙)。