あれだけ罵倒され軽蔑され見下されたというのに「彼女は私を見捨てられない」と言い切るリサ。これだけ罵倒し軽蔑し見下したというのに当たり前の顔して戻ってくる由樹。
私が貴女を支配し、貴女が私を支配するって百合の関係性として最高すぎる。
予告で見てたとはいえ遠野リサの土下座は由樹同様にショックだったし、中谷さんの演技自体もすごい吸引力で、なんかもう・・・とにかく中谷美紀すごいなとしか言えないわ。
こんなにも哀れで惨めで、それなのに美しい土下座はそうはない。ばら撒かれた原稿を必死で集める姿はまるで餓鬼のようなのに、その必死さが哀しいけれど美しい。
パソコンを前にしても言葉がなにひとつ出てこなくて地獄のような唸り声をあげ、ようやっと絞り出した映画原作の原稿を「信じられないくらいつまらないの」と言う空虚さといったら。
物語であれ曲であれ絵であれ、何かを生み出す苦しみって、生み出せない苦しみって、どれほどのものなのだろうか。
それをただ貪ってあーだこーだと好き勝手に感想言って(書いて)満足してるわたしってなんなんだろう・・・なんて思ってしまった。いやただの消費者でしかないってことはわかってるんだけど。
てっきり自分の野望であり欲望のためだけに女たちを転がす哲司なのかと思いきや(それはそれで漲ります!!)、書けるものならリサに書かせたいという想いはある・・・みたいだよね。由樹に書かせはするけど作品の“顔”であるタイトルはリサ自身が生み出したものでいくと譲らないのもリサに対する想いによるものなんじゃないかなと思ったし。
「ここ3冊は遠野リサが書いたのか?」と聞く高杉くん。この発言が意味するところは遠野リサの作品を全て読み理解しているということに他ならないよね。そして遠野リサという人間であり母親を誰よりも知っているからこそ、ここ3冊は遠野リサが生み出したものではないことが“わかる”んじゃないかな。
遠野リサにはゴーストライターがいるという書きこみは息子がするんじゃないかと予想するけど、息子は復讐というか、母親への反抗心からしてるつもりだけど、ほんとうは母親を生みの苦しみから解放してあげたいと思ってのこと・・・・・・だといいな。