米澤 穂信『インシテミル』

インシテミル

インシテミル

映画化対策として読んだので、エンタメカテも加えてみました。
綾辻行人さんの十角館を彷彿とさせる屋敷の見取り図に興奮したものの、それだけ・・・でした。屋敷だけでなく各人に与えられた道具等ミステリー的に設定そのものはかなり魅力的だと思ったのですが、それを駆使して殺人ショーが行われるかというと全くそういうこともなく、結局のところ心理戦というか、お気楽な気持ちで参加した大学生を中心に、いろんな立場の人が繰り広げる密室群像劇といった感じでした。ホリプロが所属のスター俳優による殺人ゲームを映画化すると聞いた時は頭おかしいだろ(笑)と思ったもんですが、想像した「殺人ゲーム」とは全く違った作品になりそうなので安心したようなガッカリなような複雑な気持ちです(笑)。で、これはネタバレセーフかなぁ?小説では最初に12人がゲームに参加するのですが、映画の方はメインキャストは10人と発表されてるので、舞台装置の設定と概略を借りて人物設定やら途中の展開やらはオリジナルになると予想。とりあえず主人公(なのかな?)の結城が竜也なことだけは決まりだよな。結果的に物語の鍵を握る存在となる浮世離れした圧倒的美女が登場するのですが、今発表になってるキャストから判断するにこれをやれるのは片平なぎさ様しかいないと思うんだよなー。でもなぎさ様には失礼ながら年齢的に相応しい役がもう1つあって、こっちもこっちでキーパーソンと言えるんだよなぁ。それをいったら欣也がどの役をやるんだっ!?なんだけど。役名を含めた次なる情報投下が待ち遠しい(私のあの人が出れるかどうかってのが・・・)。
ところで、なぜだかは自分でも分かりませんが私この作品のタイトルをずーーーっと「インシミテル」だと思ってました。



以下は内容に触れているので背景色で隠します。

第一印象から決めてましたっ!のイケメンが早々に死んだ時点でヤル気(なんのw)が失せてしまいました。あらゆるパターンを書き尽くされてしまってる今、やはりクローズドサークルものは登場人物の魅力ってのが最重要だと思うのですが、この作品はそれがイマイチ。米澤さんはそこいらへんむしろ上手い人だと思うので、これはあえて人物を記号として描いたのかなぁ・・・と思ったほど名前とビジュアルやら性格やらがなかなか一致しませんでした。もしこれが意図してのことだとすると、そうした理由は登場人物の誰かに感情移入することを防ぐため?ってことぐらいしか思いつかないのですが、感情移入させない理由が分からないんだよなぁ。冒頭で各人がこのゲーム(バイト)に応募しようと思った理由や状況が簡単に描かれているのですが、誰がどれなのかってのは分からず、最後まで読み終わってもやっぱりはっきりとは分からない・・・んだよなぁ。最後に犯人と指摘される人物の動機(なぜそれだけの金が必要なのか)も明かされないし、このゲームの主催者が何をしたかったのかも結局はっきりとは分からない。そして次へ続く・・・・・・ような終わりなのでスッキリしないことこの上ないわけです。この『スッキリしない気持ち』を描くための登場人物記号化・・・ならまぁ分からなくはないかなぁ。