笹本 稜平『グリズリー』

グリズリー

グリズリー

通称「グリズリー」なるテロリストがたった一人アメリカに戦いを挑む。グリズリーを追うのは過去に立て篭もり犯を射殺したことがある元SAT、スパイとして運動家グループに潜入したものの、取り込まれ内ゲバ殺人に加担した過去を持つ公安刑事。この手のやつが大好物なので、しっかり読んだーって気分。骨太な作品で読み応えありました。戦うだけ戦って最後はアッサリで拍子抜けしたけど。一匹狼だらけというか、物語に関わる捜査側の主要人物が所属先が違うもののはみ出しものばっかで、みんな腹に一物抱えてるんだけど、なにげにすんなり協力。なんだかなー。それぞれの上司もまた出来た人というか「俺が責任を取る」みたいな人ばっかで熱いです。テロリストのキャラクターが強烈で、元自衛隊の超エリートでめちゃめちゃマッチョ。邪魔なやつらはバンバン殺す。しかも超エリートだけにものすごく頭がいいと。米軍のSEALSも1人で殲滅。恐るべし。とまぁ、荒唐無稽と言えばその通りなんだけど、このテロリストが主張する「誰もが核を扱えるようになれば核の脅威はなくなる」って部分は、頷けるような気がしなくもなかった。最終的には、だけど。最近接するあらゆるメディアで使われるテロの材料が核だらけな気がする。それはリアル、ってことなんだろうな。こわっ。