荻堂 顕『ループ・オブ・ザ・コード』


世界が「疫病禍」を経験した後、20年前に国としての一切が<抹消>され新たに造り直されたかつての独裁国家<イグノラビムス>へと派遣されることとなった『世界生存機関(WEO)』の現地調査要員であるアルフォンソ。目的は200人以上の児童が原因不明の発作を繰り返す奇病の調査だが、時を同じくして20年前の悲劇が繰り返されようとしていて・・・

という物語で、初めましての作家さんです。
帯にある各人のコメントのなかに「虐殺器官」の文字が複数あることだし、ジャンルとしてはSFとしていいかと思いますが、SF読めない脳である私がこの作品を手に取った理由はただひとつ、大好きな深見真さんがTwitterで紹介されていたからです。

比較的読むのは速い方なんですが、時間かかったー。SFではありますがそこまで突飛な設定ではなく、むしろ今この瞬間世界が抱える問題や事象を想起させられながらの読書だったんで内容的には(SFに対する私比として)読みやすいとすら言えるものですが、その「現実との近さ」と、それから同性愛者である主人公が抱える「子供を持つ・持たないという選択問題」についていろいろと考えさせられてしまい、その結果思いのほか読み終わるまで時間がかかりました。
なにをどう考えたのかは完全に私的なことなので感想として書き残すことはしませんが、考えること・考えた時間はだいじ。