『エルピス―希望、あるいは災い―』第7話

連続殺人犯として死刑判決がでた事件における重要な証言が嘘であるという特大スクープを無断で放送した責任を問われ番組作りから外され左遷されることになってしまった村井さんは、惜しまれつつも事実上の退場・・・となるんだと思ってたのに(だから長尺の贈る言葉にウルったのに)バリバリ出続けんじゃねーか(笑)。
性格が変わった岸本から嫌味言われたってんで泣きながら怒りまくる恵那に「男が嫌味を言うときはな、寂しいときだ」って村井さんの名言デターーーーーーーー!!と思った直後にふくよかな女性に膝枕されながら「歳取っちゃったよー寂しいよー」って泣いてる村井さんマジ最高すぎんだけど(笑)。

そんな村井さんはおそらく、いやたぶん間違いなく密かに裏でなんか動いてるんだろうけどひとまず表舞台から降りたのに対して、登場したときは「癖が強すぎるオバチャン」以外のナニモノでもなかった池津祥子さん演じる記者の笹岡さんがいよいよ記者としての実力を発揮するターンに突入してワクワクするわ。
大門が絡む「リスク」の話は実にわかりやすい&説得力で、土日しか動けない(番組ディレクターという立場で動けなくなった)岸本に代わって「足」として頼りになるし、それがあえてこの表現を使うケド「オバチャン」だってところに妙な誇らしさを覚えるよね。おなじオバチャン属としてはさ。

それから、岸本を「拓ちゃん」と呼ぶ友達の悠介もいい奴だよな(演じてるのは斉藤天鼓さんという方なんだね。覚えておきます!)。
予告でママと食事をするカットがあったんで、ちゃんと話をして、以前のように仲良し親子には戻れずとも和解できればいいなと思ってたんだけど、それはまだ先だとして、ひとまず悠介がいればこの母と息子が「二度と会わない」的な感じになることはなさそう。

で、悠介の存在があったから「冷静を装えた」という陸子だけど、息子が何に怒って何に傷ついて自分に幻滅したというか見限ったというか、そういうことなんだと理解してるだろうに、なぜあんな顔であんな口調で「社会の恐ろしさ」なんてものを語ったのだろうか。
陸子が語ることは現実だよね。それが陸子の生き方なんだろう。
それを受け入れるのか拒絶するのか、それは息子の判断に任せるってことなのかな。
でも「母親」としては泣いちゃうんだよな。この先の陸子になにがしかの救いとか希望みたいなものがあるといいんだけど。

それで言うと、岸本に「50万」で情報を売った警察の人もなかなかに捻じ曲がった描写だったよね。
この人も末端捜査員として「社会の恐ろしさ」にどっぷり浸かってしまっているのでしょうが、対価としての50万で「娘のピアノを買う(自分のために使うわけじゃない)」というこの台詞をどう解釈すればいいのか悩むわ。金で買える正義ってなんだだろうな。
うちの署はもう詰んでると言うぐらいだしバレてもいいと思ってるのかバレないと思ってるのかはさておき捜査資料をUSBにコピーして持ち出せるところはさすが神奈川県警だけど。

岸本からの連絡を「忙しいから」と事実上無視してる恵那のことを、前回を見終えた時点では“以前のように自分を殺して流されるままニュースを読むだけの存在にはなるまいと必死で頑張ってるけど実情として忙しさに追われ岸本からの連絡すらマトモに取り合えない状態”だと思ってたんだけど、『今の浅川恵那』は『抗ってる』わけじゃないのか。
以前は自分の気持ちや考えを呑み込みペラペラのニュースを読まされる苦しさを「吐く」という行為で誤魔化していたけど、今はペラペラだと解っているうえで読むことを自ら選んで、もっというと自らに課している、ということか。
そして今はペラペラであると浅川の代わりに口に出して言ってくれる村井さんという存在であり、ペラペラのニュースを読むためにしなければならない「忙しさ」という現実を面と向かって批判してくれる岸本という存在がいるってことなんだな。

で、いよいよ「真犯人」の本命は瑛太であり、恵那に強烈な印象を残す「本城彰」であるってな感じだけど、事件の真相を追うことがドラマの主軸ではあるけど主題ではないからそのまんま瑛太演じる本城彰が真犯人でしたってんでもいいんだけどさ、それだと「そのまんますぎて」面白くはないわな。瑛太がそんな“単純な真犯人”をどう演じるかはそれとして、ストーリーとしては面白くないだろう。
だから本城彰だと思ったら・・・真犯人は別にいた!という展開になるのではないかと期待を込めて予想するけど、でも本城父と大門の繋がり・関わりはここまできてひっくり返ることはなさそうだよなー。斉藤の存在もあるし。
となると、やっぱりひっかかるのは本城の子供はあと二人いるってところだよな。一人息子のほうが“わかりやすい”だろうに、わざわざ“次男と長女は親の会社で働いてるけど長男は所在不明”としてるところに仕掛けがあるのではないかと。
真の真犯人は次男のほうで、それが永山絢斗だったらめっちゃびっくりする(瑛太繋がりで松田兄弟の共演にテンションぶちあがった記憶がまだ新しいのでそんな期待をしてしまう)。
あとこれまではパンツ売ってるぐらいだったけど(ぐらいではないけども)、直近の事件では14歳の子が18歳と偽ってデリヘルやっててめっちゃ稼いでるという、パンツ売りとはレベルが違う「裏の顔」要素が出てきちゃったことが気になる。厭な意味で。