再会したと思ったらソッコーで湊斗から佐倉くんに乗り換えたようにしか見えないし、結局のところ「ずっと佐倉くんが好きだった」ってことなんだろうけど、想に対する紬の恋愛感情って「高校時代の延長」にしか見えないんだよね。
まだ「付き合ってる」とは言えないような状態らしいんで、それこそ友達以上恋人未満の「最も幸せな関係の一歩手前」なわけだよね、今は。なんなら一番楽しい時と言っていいかもしれない。
で、何が言いたいかというと、紬に「ろう者と人生を共にする覚悟」があるようには思えないってことなのよ。
まあまだ付き合ってもいないわけだし、紬にしてみりゃ「『普通に』付き合いたいだけ」で、今はまだ「その先」のことは全然考えてないんだろうしそれでいいのでしょうが、そんな紬の「ただ佐倉くんの隣にいたいだけ」って思いと「病気で入院してる夫の顔を見たいだけ」という妻の思いを一緒にすんのは違和感あるんですけどと言いたい。
紬の母親が「大企業に勤める健常者で優しくて紬のことを大切にしてくれる湊斗くん」と「耳が聴こえない佐倉くん」を比べてどうこう言うような人間ではなかったことは視聴者感情として良かったと思うし、あとまあいい意味でこの母にしてこの娘だなとも思うんだけど、『母親』として想の母親と対比させる意図もあるにせよこの母娘のやりとりはちょっとピンボケしてるように思う。
紬と想の「(手話で喋るの)めんどうくさくなんてないよ」と春尾と奈々の「めんどうくさいよ!!」もそうかな。
そのやりとりのシチュエーションはさておき紬はまだ「めんどうくさい」と感じるところまでいってないだろうに、まだその段階ではない(そこまでいってないってだけ)ということを描いてる、というニュアンスじゃなかったようにわたしは感じたんですよ。
残り話数を考えると「めんどうくさい」と言ってしまった春尾に対して「めんどうくさくなんてない」と言える紬、という描写だと思うんだよな。
ってところで話が戻るんだけど、それは紬がまだ「ろう者と付き合う」という大変さをわかってないからだよなと思ってしまうのは、わたしが紬にいい感情を抱いていないからだろうか。
ていうか奈々が「めんどうくさい」ことは間違いないよなー。
手話がめんどうなんじゃなくて奈々がめんどうくさい。
奈々にとっての手話は「他者と話をするために必要な手段」で、云わば生命線みたいなものなのでしょうから、耳が聴こえて声で会話ができる人間が集まって「手話サークル」作ると言われて、その場に断りもなく呼ばれて反発したくなる気持ちを想像することはできる。そりゃ不愉快にもなるでしょうよ。
でもそうは思えどこの流れで「どう受け取るかはこっちが決める」ってのは一方的すぎるとも思う。
一方的で感情的で、まったく聞く耳もってくれないんだもん、そりゃ春尾も「めんどうくさい」言うわなと。
そして奈々は自分がされてこれほど嫌だと思ったことと同じことを想にした過去がある。これをどう受け止めればいいのだろうか。
あのとき奈々は「中途失聴者からの差別」を受けショックを受けてるように見えたけど、春尾とのことを思い出したりはしなかったのかな。
そうそう、手話教室の前で「久しぶり」と言い合う奈々と春尾という状況にどんな理由が用意されてるのか期待半分不安半分と前回の感想で書きましたが、“想くんの友達が想くんのために通ってる手話教室のサイトを見たら昔の男の写真があったんで会いにきた”という理由で「なるほど」となりました。
想くん(とその友達)とのことがあって、「春尾くん」のことを思い出すのは至極当然だし、その春尾くんが手話教室の先生になっていて、そしてこれが一番重要だけど一方的に関係を断ったのは奈々のほうからなわけで、奈々の性格からして「会いにきちゃった」と言えるのも納得だもん。
ってかリュックあけっぱで背負おうとしたところを春尾に止められ閉めてもらってたけど、さすがにこれは奈々の「ドジっ子」描写だろうけどそれを今ではわざと開けて「ドジっ子アピール」に使ってるわけで、奈々というキャラクターの肉付けがエグイわ(褒めてます)。
しかもそれを演じる夏帆の演技力が高いもんで(春尾に向けた「怒り」なんて『手話』であることを忘れるぐらい感情が伝わってきたもんな)、喰われちゃってるメインカップルが気の毒になるほど。
そうそう演技力といえば、院の後輩が「耳の聴こえない子」について心無いこと言った瞬間に見せた春尾の顔はキタキタキターーーーーー!となったよねw。
そして元カレと弟と親友が「紬を幸せにし隊」とかいうLINEグループ作ってるのは気持ちが悪いけどまあ好きにしたらいいがなだけど、そこで「佐倉くんも招待していいかな?」「隊長(元カレ)がいいって言うなら」とか言ってんのは寒気がした。想の立場でそんなグループに入れられたら地獄じゃん。