葉真中 顕『ロング・アフタヌーン』

初めましての作家さんです。

女性編集者の元に、以前新人賞に応募してきた中年の女性から再び作品が送られてくるところから物語は始まり、作中作としてその送られてきた小説と編集者目線の物語が並行して描かれ、やがて編集者の心情と小説のなかで描かれている主人公の心情が重なっていき・・・という作品で、扉に「私をあなたの、共犯者にしてください」という作中の「台詞」があるんだけどこの所謂キメ台詞を扉というこの本を開いた瞬間まず目に入るところに置くところが潔いし、帯に「私たちのシスターフッドがここにある」と書かれているのですが、『私たちの』に仕掛けがあって、最後まで読まなければこの台詞の意味がわからないという構成がとてもよかった。