七尾 与史『全裸刑事チャーリー』


ヌーディスト法が施行され、公共の場を含め全裸で日常生活を送ることが可能になった、という世界観で、通称「チャーリー」と呼ばれる有能な刑事が警視庁初の「全裸刑事」になるという、タイトルはつまりそういうことです。そのものずばり。
主人公は着衣を死守しようとするその全裸刑事チャーリーの相棒になります。

現実逃避したくなり、思いっきりバカバカしい話を読みたいと思って手に取ったのですが、求めていたものとは違ったというか、バカバカしさの方向性が好みではなかったかなー。
全裸刑事のカリスマなのでヌーディスト事件専門として扱う事件がすべて全裸なのはわかるし、全員が全裸なのではなく全裸をヨシとしない価値観もあるわけで、そのあたりのせめぎあいを織り込みつつ、事件も全裸ならではの推理であり動機ではあるんだけど、ヌルっと始まってヌルっと終わるもんで「全裸」という設定にオチがついてないのが1冊として物足りない。
まあもともとが「5分で読める!」シリーズとして書かれたショートショートだそうなのでただそれをまとめただけということなのでしょうが、最後に「なにかある」のだろうと思って読み進めていたもんで、ただひたすら「股間(男性器)の話」を読まされただけで微妙な気持ち。