『封刃師』第4話

面白い。毎回言うけど(たぶん最終回まで言い続ける)ほんっとに面白い。
3話で登場し、自身が穢刃と素手で戦い、駆によって封刃されるところを目の当たりにした刑事もまた穢刃となってしまい、路地裏でチンピラを斬り殺してしまうという3話から続く4話は殺された人数が最多、つまりアクションの派手さはこれまでで最高であり、そして「切なすぎる」回でした。

神代弓美が穢刃になってしまった理由は駆曰く「穢れは、君の強く縛りあげた心に付け込んだ。それが君の弱さだ」ってなことだけど、親が強盗に襲われているところを抱きかかえた妹とともに隠れたクローゼットから目撃したことで生まれたのであろう「悪を許さない」という強い気持ち、そのために強くなろうと、強くあらねばならないと誓い強い克己心でもって警察という男社会オブ男社会で生きてきたことが「弱さ」だなんて、3話の感想でも書いたけどそれを快楽殺人者と並べて・続けて描くところがエグイわ・・・。

快楽殺人者と並べたと書きましたが、『穢刃となり駆に封印された』ことそれ自体は同じだけど、でも神代は他の穢人(穢刃となってしまった人間をそう呼ぶらしい)とは違った。

穢人がどういう精神状態であるのかはこれまでのなかで描かれてはいないのでわからないけど、弓美には「正気に戻る」瞬間があった。
そこで弓美は三條に電話を掛け、自分になにが起こったのか、自分のようにならないよう「黒いフードの男には気をつけろ」と噂としてでもいいから広めてくれと、そう伝えた。

三條が語る「黒いフードの男に斬られて穢刃になった」という弓美の話に驚愕する五百津堂の面々。どうやら穢刃を「生み出す」ものがいるだなんて知らなかったらしい。

五百津肇が「封刃」のシステムにいつから、どれほどの、関わりを持っているのかもまだわからないけど、これまでその存在を知らずにいたのはそれを伝える・教える者がいなかったからであろうわけで、それが今回弓美から三條に、そして駆に伝わることとなった。

それはまさに神代弓美の警察官としての執念がなしたことなのだろう。
穢刃となってもなお「悪を許さない」その想いがここへきて新たな「情報」を駆たちに与えることとなった。

そんな弓美を穢刃となった時点で救うことはできない、消えるしかないだなんて「そんなの切なすぎる」よねえ。

でさ、今回のなにが素晴らしいかって、その「切なさ」を担うのが吉原と内藤だってところなんですよ。
2人は“警察の人間”として初回から登場してるんだけど、それは現代の日本を舞台にする以上警察という組織の存在、穢刃による犯行について警察はどう対応しているかという説明はまあ必要だろうから(はなから警察を無視して完全に裏世界の話として作ることもできただろうけど)そのための要員ってだけだと思ってたんで、ここでこういう使い方をするとは驚いた。

吉原はただの先輩(上司)なのではなくおそらく神代が警察官になるキッカケとなった「刑事さん」なのだろうし、内藤は神代の「同期」だったのか。

そしてそのことを台詞として語らない中島脚本な。これは30分という尺であるがゆえの演出なのかもしれませんが、駆が見た神代の記憶にあった瞬間、おそらく主席として表彰されたあと同期に祝福されているのであろう希望に満ち溢れた、もしかしたら警察官人生において最も幸せだったかもしれないその時の写真を、今神代に対して何が行われているのか、神代がどうなってしまうのか「解って」いながらマンションに残り神代の妹を守りながら見ている内藤のカットが切なさを煽る煽る。

そんでもっての吉原への「あんた、いい刑事だったんだな」に三條への「彼女、あんたを憎んでない。ホッとしてたよ、さいごは」と言う駆な。
駆やーさーしーいー!!。


予告でニューズデイズの編集部に吉原がいるカットがあって、「あんたも食らいついたら離さないだろう」ってな台詞が聞こえたんで、これまでは「仕方ない」として受け入れていた穢刃案件について神代の意思であり遺志を継いで調べる決意を決めた吉原(と内藤)が三條と共闘することになると予想しますが、だとしたら熱い!。これは髑髏城の七人で鎌を握って弟たちのあとを追う兄さと同種の熱さ!冴えない脇役が自ら物語の真ん中に飛び込む(そして仲間のピンチを救う)これぞ中島脚本!!。

中島脚本と言えばですね、
神代に殺されたチンピラの遺体を調べながらの

吉原「オイ、うかつに関わると(現場に落ちていた拳銃を見せつつ)痛い目見んぞ」
翔「吉原さん優しいなー。心配してくれて。今日は気の強い彼女もいないし」
吉原「神代か・・・。今日は休みだ」
翔「少し休んだほうがいいよ。いろいろあったわけだし」
吉原「アイツをなめんなよ。食らいついたら離さないぞ」
駆「だからこそ深入りするなと伝えてくれ。うかつに関わると痛い目見るって」

このやりとりがカッコよかったわー。
警察の立場での「うかつに関わると痛い目見る」と封刃師の立場での「うかつに関わると痛い目見る」というこの会話が駆が“銃で撃たれる”というまさかの展開に繋がり、神代に代わって吉原が「深入り」する(のであろう)次回以降の展開に繋がるとかタマラン。
この「食らいついたら離さない」という言葉で神代と三條と結ぶのも上手いし。


最初に書いた通り、殺された人数最多だけあってアクションは今回も凄かった。
極道事務所に刀を持った女が単身乗り込んでって一撃必殺でぶっ殺しまくるとか最高でしょ。
最後に殺されたヤクザの人とか刀もったまま前転で足元から近づいて立ち上がって相手の背中をローリングして逆サイドから首を斬るとかキレキレすぎて笑っちゃう。
女優が逃げてる途中で手すり?柵?と飛び越えるとかあまり見ないし、マンションの隙間に続いて場末の路地裏というロケーションがまた雰囲気あってカッコいいのなんのって。

今回の駆は“脇腹を負傷してる”というハンデがあることと、駆の「戦い方」を見知ってる神代が『鞘を奪う』という攻め方をしたことで素手での戦いも拝めたし、そのなかで鞘との距離を目算する駆からの抱きしめるようにしての封印と、ストーリーを進めながらもメインであるアクション、封印がパターン化しないところがほんとうに凄い。