浅倉 秋成『六人の嘘つきな大学生』


SNSのサービス提供からスタートした新興企業の就職活動において最終選抜まで残った6人の大学生。最終試験はグループディスカッションで、内容によっては全員に内定を出すかもしれないので最高のチームを作ってくださいと言われ試験に向けて仲を深める6人だが、試験日を前にして会社から「内定を出せるのは1人になった」と連絡を受ける。そして試験当日。ディスカッションの場で不審な封筒が見つかり、なかには6人それぞれの「罪の暴露」の証拠が入っていた。それを用意した『犯人』は誰なのか。

という物語ではありますが、犯人宛てというよりも就職活動という状況下における若者たちの心理状態であり、人間には「表裏」があることを描く作品でした。
6人の元仲間のうちの一人が死んだことを切っ掛けに、内定を勝ち取った「1人」が8年経って改めて“事件”について調べることになるのですが、その中で描かれる就職活動という人生の分岐点を経た6人の「現在」、本題はそっちなのではないかな。

なのでまあミステリー作品とは言えないように私には思えるのですが、でもミステリー好き界隈ではわりと話題にされていたんだよな(だから読んでみようと思った)。
この作品のなにがミステリー好きの琴線に触れたのか、そこは謎。まさか叙述だからってだけじゃないよなあ?。