麻耶 雄嵩『メルカトル悪人狩り』

10年ぶりのシリーズ最新作だそうですが(まやゆに対しては「10年ぶり」は特に驚くに値しない年月です)メルカトルと美袋君ってこんな感じでしたっけ・・・?
もっと「うっはw」(←察してw)となりながら読んでたはずなのに今回ピクリともしなかったんだけど、私の中のなにかが、どこかが、枯れてしまったのだろうか・・・。
ていうか、メルが表紙にいて(二次元化されていて)びっくりしたんだけど、ぱっと見で性格の悪さが滲み出てる「顔面」はわりと予想通りなんだけどタキシードとシルクハットが思ってたのと違うなあ。ギリ「普通」というか、この顔面とセットでさしたる「違和感」なくそういう人だと思えちゃうというか、むしろ違和感よりもイケメンの方が先にくるけど、第一印象としてはもうちょい「珍奇」な感じを想像してたもんで。

それはさておき、この短編集は事件が起きてメルカトルが呼ばれるのではなく、メルカトルの行く先で事件が起きるというわけでもなく、むしろメルカトル自身が事件をおぜん立てし解決に至るよう導いてるというか、メルカトルが居ることで事件の『形』が決まるというか、メルカトルの介在なくしては推理が成立しない、そんな印象で、それは不思議な感覚でした。作中で美袋も疑心暗鬼になっていたけど私も同じ気持ちになった。