中村 文則『カード師』


私には難しすぎて、5割、いや6割はただ文字を、言葉を、文章を読んでいるだけでしたが(特に佐藤が主人公に読めと渡した手記のあたり)(これ、新聞で連載してたんですよね・・・)、それでも確かに『祈り』がそこにあることはわかった。
というか、読み終えて感想を書こうとしてまず浮かんだのが「祈り」という言葉で、さらなる言葉を探しても「祈り」しか出てこなかった。


「現実」を物語のなかで重ねていった先のことだったのでそれが出た瞬間は「ああ、やっぱりそうなるよな」という、半ば当たり前のように感じた佐藤の最期が、あとがきを読んでそうなることは決まっていたけどその原因については決まっていなかったが世界がこんなことになってしまったことでそれしかなくなってしまった、ということであったことを知り、改めてこの現実に対し祈ることの意味を考えさせられる。