西澤 保彦『偶然にして最悪の邂逅』

偶然にして最悪の邂逅

偶然にして最悪の邂逅

表紙カバーに『過去と現在が交差しながら、怒涛の展開へと突き進む、“日常の中の非日常”を魅惑的な筆致で贈る全5編』とありまして、概ねその通りの短編集ではありますが、ちょっと待てと、『気づいたら他人の家に居てかつての教え子だったその他人と状況のすり合わせをしたら今は「38年後」で「令和」で、そして自分は誰かに殺されて幽霊になっているらしい』という状況が『日常の中の非日常』ってレベルですか?と、逆から言えば『自分ちに突然他人が現れて、どうやらそれは高校のときに世界史を習ってた先生で、よく見たら脚がない。なので幽霊』って、そんな『日常の中の非日常』があるかよと。

と、1編目からツッコミましたが、2編目以降はまあ普通。エロはあるけど、エロ心が謎解きの肝だったりもするけどそれはいつものことなので、日常の中の非日常としてはまあ普通でした。超能力とか出てこないし。

だがしかし人間関係がごっちゃごちゃ。どの作品もそこまで登場人物が多いわけじゃないんだけど、人間関係が濃密であることに加えて西澤作品比として登場人物名が普通であることが却って足を引っ張った気がする。どれも最後のキレで勝負する作品で、こんな(エロ)話がなぜそこに着地する!?という驚きは確実にあったんだけど、そこにいきつくまでに脳が疲れてしまうので正月明けに読むようなものじゃなかったです・・・。