はぐれ者バディVS猟奇殺人犯と帯にありますが、舞台は「戦後」の「大阪」です。
なので警察機構がまだ今のように整備されてはおらず、世の中も戦争の余波がそこかしこに残っている状態で、なんといっても科学捜査ができないので独特の雰囲気がありますが、帝大出のエリートキャリアと中卒の新人刑事というありがちすぎるはぐれ者バディ設定と、合間合間に犯人のものと思しき“過去”が挟まれ、そのなかで生い立ちや犯罪に目覚めるキッカケ、そして“動機”が見えてくるというわかりやすい展開なので、使われている単語や交わされる言葉(会話)に時代劇的な読みにくさは確かにあるものの内容の理解という意味ではサクサクと読めました。
犯人の目的・動機はわかるものの「誰」がその犯人であるのかは作中で明らかになるまでまったくわからず、わかっても「お前だったのか!」という驚きはなく「あーそうなんだ?」ぐらいの人物だったので「VS猟奇殺人犯」については思ってた(期待してた)のとだいぶ違ったという感じですが、はぐれ者バディそれぞれの成長と関係性の変化、警察内部の人間関係が面白かったんで警察小説として楽しめました。