- 作者:夕花, 香月
- 発売日: 2020/05/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
ジャケ買いならぬタイトル買いした初めての作家さんです。
課題のためにグループを組んだ小学校の同級生男女五人の物語で、五人はとあるキッカケで町に立つ高層マンションに登り最上階に一人で暮らす不思議な男と出会うのですが、それから何十年が経ち現在は四十代になった現在が舞台となります。
それぞれ人生が上手くいっているわけではなく、いろんな事情を抱えているわけですが、この事情というか状況というかがヘビーでして、みんなそれぞれ多かれ少なかれ悩みや苦しみを背負って生きてるわけで人生イージーだぜ!な人間なんてほんの一握りだけどそれにしたって結構ヘビーだもんで、読み進めるたびに気がどんどん気が重くなるという・・・。
それぞれの視点(話)による連作構成なので、最初の話を読み終えた時点では人生の折り返し地点に立つ中年の男女がそれぞれ問題を抱えつつも小学校時代の思い出=不思議なおじさんとの再会を果たすことで気持ちが軽くなる的な、状況がほんの少しでも上向きになる的な、そんな物語だろうと想像していたので余計にダメージを食らった感じ。
最後は希望の兆しというか、ちょっと前向きな感じで終わるのですが、壊れ続ける世界のなかではどうにもならんよね・・・という無力感が残った。