『MIU404』第4話

中島かずきさん(だったと思う)もツイッターで書かれてましたけど、ミムラ改め美村里江さんが伊吹と話をする前に死んでしまったもんだからこういっちゃなんですけどこの程度の役になんで美村さん?と思ったら、死んでからが脚本的にも役者的にも本番というか本領発揮で、現行の事件に隊長の話(抱える思い)と隊長が保護し続けてる事件関係者の存在を縦軸としてグサッとぶっ刺してきたのと併せてねじ伏せられた感じ。
逃走中の美村さんが見たポスター、その場では目だけだったけどそれが何を訴えるポスターであるのか想像することは容易で、だから1億円の行方も予想はできる。
で、ココで終わらない。ほんとうの謎はそこじゃない。

なぜ女は空っぽのスーツケースを持って空港へ向かったのか?

その謎解きとして、あの「空港へ向かうトラックと高速を降りるバス」のバックショットはグッときた。
独りの女の罪と人生と命が、誰かの人生を繋ぐべく、誰かの命を救うべく走っていく。それを命のロンダリングと言っていいだろうか。
バスの車中から窓の外を見た女が浮かべた微かな笑みの理由が、勝ったことない賭けに「勝った」ことが、最後に見た風景が「絶望」などではなかったであろうことがここで解るこの流れ・映像は見事。

さらに言うと、美村さん演じる女の背景をグダグダ説明しないところがイイ。“客に違法カジノに連れて行かれて借金漬けにされカジノで働いてるところを摘発されました”“やり直すべくやっと手に入れた「まともな仕事」もやっぱりヤクザ関係でした”というだけで、水商売をしてた理由なんかはわからない。病気の家族を抱えてるとかあるのかもしれないし、特に理由はないけど堕ちてしまっただけなのかもしれない。それを描けばなにがしかの共感や同情を得られるかもしれないけど、それをせずただ「最後の賭け」としてだけ描く。そしてそれは伊吹と志摩がタイガーマスクの話として語ったように「自己満足」ってだけであると。もっと言っちゃえばランドセルは迷惑でも宝石=金ならいいだろ?と、話としてはべちょべちょの人情モノなのにアプローチはある意味冷淡。これが実に好み。