中山 七里『帝都地下迷宮』

帝都地下迷宮

帝都地下迷宮


生活保護の相談窓口で働く公務員の男が主人公で、数多ある鉄オタのなかでも“廃駅オタク”である男は仕事で思うところがあり違法行為とわかっていつつ深夜に銀座線萬世橋駅にへと忍び込むが、廃駅であるはずの地下で一人の女の子と出会う。彼女は百人ほどの仲間と地下で暮らしていて、自分たちは<エクスプローラー>だと言う。

という始まりで、地上の「現実」と地下の「非現実」を行ったり来たりしつつ、やがてなぜエクスプローラーたちが地下で暮らしているのか、暮らさねばならないのか、その背景が明らかになり、そして殺人事件が発生し・・・というところまでは物語としてとても愉しめたんだけど、被害者が実は警察官で公安に所属していたことで警察の権力争い要素が加わり、さらに政権を巡ってエクスプローラーたちの口封じなどというキナ臭い話になっちゃったもんでこれどうすんだ?と思ったら、なんの結末に至らずぶった切りとしか言いようがない終わらせ方でびっくりした・・・。

12ヵ月連続刊行は結構だけど、そんな無謀な企画のなかでの出版でなければこんな終わり方にはならなかったのかなぁ?。だとしたらなんか本末転倒な感じ。