東野 圭吾『希望の糸』

希望の糸

希望の糸

帯に『謎に挑むのは、加賀とあの男』と書かれていて、「あの男」の「あの」が強調されているのものの具体名が浮かばず誰だ?と思いながら読み始めたわけですが、もしかして松宮のこと・・・なのか・・・?となり、松宮のことだったのか・・・・・・(拍子抜け)という感じであった。

物語自体は面白い。評判のいい小さな喫茶店を一人で営む女性が店内で刺殺されるという地味な事件が発端で、細い糸を手繰るようにして捜査を進めていくとそこにはあってはならない「真実」があった・・・という主線軸があり、と同時に松宮出生の秘密についても描かれ、両者の間に直接のリンクがあるわけではないんだけど『親と子の繋がり』として気持ちの重なりがあって、どちらの物語もそこにある想いは哀しく切ないものでした。
この空気感はさすがの加賀シリーズといったところですが、最後にもう一度繰り返しますが「あの男」とは松宮のことだったのか・・・・・・。