『仮面ライダーゼロワン』第6話「アナタの声を聞きたい」

前回の話のなかでヒューマギアがどうやって造られているのか、あらゆる要素を好みでカスタマイズできるということを説明されて、(大半の)子供はそんなこと考えたりしないかもだけど大人としてはそれは結構危険なのではないか、と考えてしまいますよね。具体的には亡くなった者をヒューマギアとして取り戻そうとしたり、好みの異性そっくりのヒューマギアを恋人にしたりとか、そういう方面で。で、それについて次の回で即「答え」を出す。生者に限らず死者であっても「当人の許可」なく同じ外見をしたヒューマギアを造ってはならないという「法律」があるのだと(でも人の形を成さないAIであれば許される)。

死者からは許諾を得ることができないから死んだ者と同じ外見のヒューマギアを造ることは事実上できない(違法である)ってことなんだろうけど、じゃあ例えば余命宣告された妻か夫がもうすぐ死ぬ自分の代わりに自分と同じ外見のヒューマギアを造ることを望むのは許されるのか?って話だし、そもそも「誰かと同じ外見のヒューマギアを意図的に造った」ことをエイムズが知る手段ってどうなってんの?と、通報ぐらいしかないならそれこそヒューマギアのモデルとなった人間のことを誰も知らない土地に引っ越してしまえばバレずに済むんじゃないの?と思うわけで、だから『そういう法律があります』というだけで答えとして満足のいくものではないけれど、それでも必要最低限の説明を早い段階でしっかりやってくれる、やろうとしてると思えるところは好印象。

でも今回の話はドラマとしてあんまりうまくなかったかなぁ。どこがと言えば全体的に。
まず社長が娘と同じ外見のヒューマギアを造ったことがバレて、翌日には必ず返却するからせめて今日一日だけ一緒に過ごさせてくれと頼んだよね?。人情として、そこは「わかりました」と答えていいと思うんだ。だからここで素直に翌日セイネを回収してればそれで終わった話なのに、不破さんに「三日待ってくれ」と或人がお願いすることがおかしい。
自分が責任を取るから三日待ってくれと頼んだ理由は「三日後にオーディションがあるから」ってことだけど、セイネが回収されることは法律上回避できないんだよね?。オーディションに受かったとしてもその役を演じることはできないんでしょ?。この先もずっと表向きはヒューマギア声優とその社長として、実は父と娘として共に生きていけるのであればオーディションに合格してヒロイン役をゲットすることは「夢」だろうけど、そうじゃないわけだからオーディションに参加する意味が「社長にとって」「セイネにとって」あるのか?って話でさ、そこを描かないなら或人のお願いは結局のところ「或人のエゴ」でしかない。そこ刃さんがつっこんでたけどさ。

で、その或人のエゴのせいでセイネはマギア化させられちゃったわけで(ついでにその場にいた複数のヒューマギアも触手の餌食になった)、その結果公開オーディションをぶち壊しにしその場に居た人たちを危険にさらしたわけで、それって飛電の社長としても仮面ライダーとしてもどうなのよ?と。

そんで「責任は俺が取る」といったくせに目の前でセイネがマギア化するのを突っ立って見てるだけだし、挙句カエルマギア(よりによってセイネがこんなルックスのマギアになるとは・・・)をバルキリー刃さんに破壊されちゃってるし、ていうか「お前を救えるのは俺だけだ」を掲げてゼロワンやってんだろうに、セイネを刃さんに破壊されたことよりも奪われたプログライズキー使って変身した滅亡迅雷のライダーが「つええええ!」ってほうが先に来るんですか?と、セイネを救えなかったことについてはなんか思うところはないんですか?と思うんだけど。

そんでもって娘を失った現実を受け入れられず違法行為に手を染めた父親の話の結末が娘の声で話すAIがあるから今はそれだけで幸せですってそれちょっと違くない?ていうか怖くない??。
前回の漫画家先生もそうだったけど、ここで社長が「ヒューマギアが娘の代わりになるわけないですよね(娘の代わりにしちゃだめですよね)」ってんで娘の死を受け入れヒューマギアと決別しちゃったら飛電というか「ヒューマギアは人類の夢だ!」と主張する或人の立場が微妙な感じになってしまうのだろうけど、前回はともかく今回はガワが変わっただけで娘のAIに依存してるという状況にさして変化はないわけで、それでいいのか?という感じはするよね。ホラーチックな後味は嫌いじゃないけど。

前回のラストで滅に「息子」と呼ばれた迅が「親」と「息子」の関係性について考えてるところでセイネに対する社長の親心を目撃し、まさに「自我」が生まれたと思ったら「親」によりリセットされるってのはなかなか興味深い展開だったんで、この話は2話構成で見たかったなー。
生まれて(造られて)間もないからまだ5歳児ぐらいの知性しかないんだと思ってたけど、もしかしたら成長しそうになるたびにこうやってリセットされてる・・・なんてことだったりして・・・と今のわたしは迅ちゃん可哀想モード。
あと「子供のためなら死んでも構わない、そう思うのが親なんだ」と或人がヤマコーさん其雄の最期を思い出しながら言ってたけど、その其雄は或人にとって「父(代わり)」だけど「ヒューマギア」であるわけで、それをそのまんま『人間』にも当てはめちゃう(それがあたりまえだと思ってる)或人の考え方も危険な感じがしなくもないです。


ってなわけで、迅が4人目のライダーになりましたが、飛電製のものとエイムズ製のものと滅亡迅雷製のものとは異なる変身システムであり、ゆえにライダーの姿も明確に違うところは面白い。でもプログライズキーは共通というか、互換性があるんだな。というよりプログライズキーありきなのかな?。プログライズキーの能力を発動させるためにそれぞれの勢力がゼロワンドライバーでありショットライザーでありフォースライザーを開発したのだと。
とすると、ゼロワンのプログライズキーはイズが作ったもので、滅亡迅雷はそれを奪ったってことで両者のプログライズキーは「同じ」と考えていいとして、エイムズが持つプログライズキーもまた「同じ」だとしたら、エイムズのそれは誰がどうやって作っているのか?ってことになるよね。
そして刃さんが指示を受けてたイケメンっぽい人、ヤマコーさんの可能性は完全に消えましたね・・・。