中山 七里『ふたたび嗤う淑女』

ふたたび嗤う淑女

ふたたび嗤う淑女

タイトル通り「嗤う淑女」の続編です。

稀代の悪女・蒲生美智留が犯した事件から3年。「野々村恭子」と名乗る美貌の投資アドバイザーが現れ、ターゲットを次々と仕留めていくのですが、この野々村恭子なる女の素性は作中で即明かされます。それも警察によって。

で、蒲生美智留と野々村恭子の関係性、蒲生美智留が死に野々村恭子が無罪となったその流れを読めば、野々村恭子が実は蒲生美智留であることは予想がつくというか、まあ「明らか」ですよね。そうでなきゃ話にならない。で、野々村恭子の側には常にサポート役の女が付いているのです。もう一人“協力者”となる男がいて、その男については話が進むごとにその事情が掘り下げられていくものの、サポート女については一向に描かれない。とくれば、野々村恭子が蒲生美智留と見せかけて、実はこのサポート女こそが蒲生美智留であるってな話になりますよね。ここまではいい意味での「予想通り」。

でもここで終わってしまうもんで「え?これで終わり」となる。さらなる続編に続く・・・であることはいいんだけど、蒲生美智留が無双しただけで終わりって、いくらなんでも小説として物足りなすぎるってか警察(視点)をもうちょい活かして欲しかった。蒲生美智留に対する警察のこの“手も足も出ない感”はこの先の展開のためのものだとは思うけど、尻尾の影を目視できるぐらいは迫って(迫られて)欲しかった。