『3年A組―今から皆さんは、人質です―』Day-10

いやさ、澪奈に謝ろうとしているのに、なんでスマホポチポチするんだって。そんなの放っておけばよくない?。今の子供はスマホを片時も離さずお風呂にもトイレにも持って行くとか聞くけどさ、それは平時であって、澪奈に話をしようとしている、気持ちを伝えようとしてる今この時に目の前の澪奈を放置してまで対応しなきゃいけない内容なの?と。もうこの時点でわたしは振り落とされたわ。この行動に疑問を抱かないような世代と言っていいのかわかりませんが、そういう人たちに向けたドラマ(であってわたしはターゲットではない)だということでしょうが、友達に謝ろうとしてるってのにスマホが鳴ったら友達そっちのけで(断るでもなく)スマホを確認するような人間に「生きててほしかった」って泣かれても、ああそうですかとしか。

ネット民を説教し(なんで平日の朝8時なんて時間から生配信すんのよ。普通の人間は通勤(準備)してるし学校行ってるし子供の世話してるし、そんな時間にネット見てる(見れる)わけねーだろ。・・・と思ったんだけど、もしかしてわざと?ネットで誹謗中傷を繰り返すクズは平日の朝8時から生配信見るような奴らに違いないという判断だったのか?)、さくらの心を救い、同僚に「味方だ」と言ってもらえた武智は文香に謝罪し、謝罪された文香は「強く生きる」と誓い、ブッキーはそれから(余命宣告通り)1年生きましたという最終回の内容にどうこう言う気はありませんが、ただひとつだけ、景山澪奈の家族はこの一連の騒動についてどう思ってんだろうなーってのはあるよね。

自分の娘の死がこんなふうに扱われた挙句「悪いのはネットの向こうにいるお前だ」と自分たちの関知しないところで勝手に断罪されて勝手に祈られて勝手に幕引きされることについてあの母親はどう思っているのかと。家族にしてみりゃネットの向こうにいる奴らなんかよりもフェイク動画を依頼した武智や直接的な「いじめ」を行ってたクラスメイトのほうが憎いんじゃないの?。「教師」ってだけの他人がなに勝手に娘について語ってんだ?ってな話じゃない?。文香の復讐も兼ねて社長と五十嵐を巻き込むことにしたのなら(校舎に爆弾仕掛けるのに社長が「うちのスタッフに効果的な爆弾設置場所を検討させよう」ってなことを言ってて、おまえスタッフに手伝わせたんかい!と絶望したよね・・・)、これから自分は娘さんの死を利用しますと景山澪奈の親にも筋通すべきでしょうよ。それがなかったのはすべて柊一颯の自己満足だから、余命宣告された男の独りよがりな行動でしかないから、ということならいいけど、最後まで見続けてその自覚は柊一颯はもちろん「作り手」にもなかったように思う

「教師」として、景山澪奈の死を言い方悪いけど題材にしてまずは「生徒」の意識改革を目指し、さらにその大半には届かないとしてもその中の何百人何十人何人かには理解してほしい変わって欲しいというのが「動機」であることは理解してるけど、菅田っちはそこいらへんどう考えて柊一颯の役作りをしたんだろうなぁ?。最終回のこの熱血演説の熱量はすごかったけど叫んでるだけだったし・・・(長々と喋ったわりには「変わってくれよ」ってだけで中身が薄かったのは実感・実体験として伝えられる3Aの生徒たちへの説教とは違いどこまでも他人事なネット民たちに対する説教ではこれが限界ってことだろうけど)(ていうかどんだけ立派なことを言っても結局「犯罪者の言うこと」でしかないんだよね・・・)。

でもまぁブッキーのこの説教を聞いてもネット民の大半は変わらないし、でも“いかにも”な眼鏡(これ、高値の花で日本一周してた眼鏡の子だよね?)が書き込もうとした文章を「ぐっ」して「クルっ」して「パッ」と消したってのは悪くない終わり方だったよ。

生徒たちの身代金という名目で集めるからにはなにかあるんだと思ってたマインドボイスで集めた金をユーザーに返金したってのはただの釣り餌ってだけだったんかい!ってなったけど。
あと撃たれたはずなのに逮捕すべくブッキーに歩み寄る足取りが全然普通どころか人質から解放されても救急車に乗ることなく細田くんと会話してる桔平も終わってみればよくわからん役どころでしたが(子供相手に「いや、これは怒りじゃない。・・・祈りだ」とか超キメ顔で言うトレンチコートの桔平はカッコよかったけどw)、いちばん理解できないのは細田くんが普通に成長する若手刑事だったことよ。細田善彦と「普通に成長する若者役」は対極にあるものなのに。

そして菅田っちは全編通して概ね素晴らしかった。劇中で桔平に「痩せたな」と言わせたくなるのも納得の外見からの役作り、そして毎回の熱弁。内容・演出としては首を傾げたくなることもあったけど、菅田っちの演技そのものは見事でした。数字という結果も出したし、この作品で菅田将暉は同世代の中でまたひとつステージを上げたんじゃないかな。