伊岡 瞬『冷たい檻』

冷たい檻 (単行本)

冷たい檻 (単行本)

北陸地方のとある村の駐在が姿を消した。民間ではあるものの警察上層部と深く繋がる“組織”の調査官が現地に派遣され、後任の駐在と共に捜査をするが、平凡であることが特徴だと説明されていたその村には『施設』『タウン』を巡る政界や中国の大企業が絡む利権争いがあり、『施設』で暮らす子供たちの間には『アル=ゴル神』と呼ばれる存在があった。

基本は過去を抱える元警視庁捜査一課の刑事で現在は民間組織の調査官という立場の渋い二枚目男と真面目だけど出生欲はしっかりある妻子持ちの若い巡査部長が成り行きでコンビを組み村の裏側を暴く的な話なんだけど、子供たちの話が大人の思惑・陰謀にどう繋がるのかという興味で読み進めたら最悪のヤツでした・・・。一応そこには子供たちの狂暴性を解放するトリガーの存在がありはするけど、それを理由とするにはやったことの総量が重すぎて滅入りました・・・。それはつまり利権に群がるやつらの罪はそれだけ重いということではあるのでしょうが、でも罪に見合う罰が与えられるはずがないわけで。
主人公の過去についてもこの中のだれかが息子であることは確実としても誰であっても幸せな人生を送ってきたはずがないわけで、と思ってたらそれはまぁ酷い話で。
とまぁ内容的には面白いという話ではないものの、結構な文字数を飽きることなく読み切ることができました。