
- 作者: 長岡弘樹
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2018/06/12
- メディア: 単行本
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どれもキレッキレ。後味のいいものも悪いもののとにかくもうキレッキレです。
タイトルがあって、所謂“前フリ”があって、そしてオチがある。パターン化という表現は相応しくないかもしれませんがそれはもう解ってるんです。前フリだと思うものは確実に前フリで、それがオチに繋がることは解りきってる。それでも驚く。それでも震える。
いい話とエグい話が混在しているのですが(読み始めて暫くはどちらに向かっているのか分からないものが結構あってそれがまた凄い)、どちらもほらほら「いい話でしょう?」「エグイでしょう?」というドヤ感がないんだよな。どんな話でもそこにあるのは冷静さと緻密さ。装飾や誘導などは一切ないのです。
感心や安堵や哀しみや切なさ・・・1篇ごとにその余韻を味わいながらもすべて読み終わるとこれだけの質をあたりまえに(思える)揃えてしまえるあまりの巧さに慄かずにはいられない。