長岡 弘樹『にらみ』

にらみ

にらみ

タイトル作を含む7篇の短篇集です。
いつもながら「キレ味鋭い」という印象ですが、そのキレはいろいろで、例えて言うならバレーボールでスパイク決まった瞬間のようなものかな、とか思ったり。
クロスにズバっと決まるものもあればストレートでビシっと決まるものもあり、時にはツーアタックで意表を突き、そしてバックアタックで豪快に決める・・・ってな感じで。
7篇すべて堪能しましたが、ヤクザの兄貴による粋な計らいに痺れる「餞別」、山中で夫が下した“選択”の先にあった妻の願いにうわあ・・・となる「白秋の道標」、中学生を主人公にしてこうまで苦い後味にするか・・・な「雑草」が特に好みです。