中山 七里『悪徳の輪舞曲』

悪徳の輪舞曲

悪徳の輪舞曲

御子柴礼司シリーズ。
御子柴の元を「妹」が訪ね、「母」の弁護を依頼する。母親の罪状は再婚した夫の殺人。その死の状況はかつての夫、御子柴の父親のそれと酷似していた。<死体配達人>の母親は金目当てに二人の夫を自殺に見せかけて殺したのか。
という物語ですが、冒頭で描かれる母親目線の状況はなんなのか、その仕掛けはかなり早い段階で予想ができちゃうし(実際その通りだったし)、相当不利な状況から裁判をひっくりかえすのも検察(警察)の検証が甘かったというお粗末すぎる結果だもんで母親の事件そのものはまぁ・・・どうでもよくて、やはり御子柴礼司の人間性、もしくは非人間性をさらに、そして改めて、見せられ突きつけられたのでした。確実にいつもとは違うのに、でもその違和感は思うほうには向かわない、というかやっぱり鬼であり悪魔で、これだけ自分であり家族の過去であり現在と向き合うことを余儀なくされてもなおブレそうでブレない御子柴さんマジぱねえ。