道尾 秀介『風神の手』

風神の手

風神の手

バタフライエフェクトがテーマということでいいのだろうか。始まりがあって、そこから派生するいろんな出来事があって、それらは全て繋がっていて・・・という物語ですが、それをさかさまに描いたところが肝。始まりは馬鹿正直な男がついた「嘘」かと思いきや、そのまえに、もっとまえに、ひとつの悲劇があり、すべての始まりは「風」であったことが判明する。そこでこのタイトルの意味が分かる。物語のなかで必ず顔を出すお笑い芸人の役割がはっきりしないというか、物語に嵌らなかったところはあるけど、事象の繋がりかた、人と人との繋げかた、その見せ方、トータルしての構成がお見事でした。