記録的な寒波が迫りくる東京で原因不明の
感染症による死者が出る。一方地下鉄構内ではネズミが大量発生し、行方不明者のバラバラ死体が発見される。続けて
狂犬病を発症した患者が続出し、さらにコウモリが人間を襲い出し・・・というパニック小説です。東京の地下で何かが起きている!?という話ではありますが、視点となるのは
厚生労働省の役人であり国立感染研究所の博士なので、騒動のド中心で問題に直接向き合う最前線にいながらもどこか高みに立ってるというか、パニック感はそうでもなかったです。いよいよコウモリが本気出した終盤は東京駅を中心に結構な血みどろパニック状態に陥りますが、犠牲となるのは一般人や上の命令と現状の板挟みになりながらも戦う
自衛隊員や機動隊員だけで、これほどまでの危機的状況でありながら自分探ししてるぐらいだし(笑)。
結局記録的寒波(自然)のおかげでなんとか危機を脱し、人類は種としての生き残りをかけたコウモリとの戦いに勝利したものの、新種のコウモリは実は
生物兵器として開発されたものだったというありがちすぎる終わり方ではありましたが、そこに人類はこういうことを繰り返してきたからこそそろそろその報いを受ける時が来るだろうし、その時がきてもこの国はどうすることもできないんだろうなという終末観と現実味が残ります。