- 作者: 横関大
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/12/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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他人の身体に入ってしまった女性とその恋人双方の視点で描かれるのですが、タイトルに「仮面」とあるからにはまぁどちらかが何がしかの秘密を抱えていて、それが明かされた時その「仮面」の下にあるほんとうの貌がみえるのだろうという予想ができるのでそのつもり(それを探しながら)読み進めていたわけですが、結果としては予想通りではあったものの私にはその欠片も読み取れませんでした。そうと解って該当しそうなところを探してパラパラ読みかえしてみてもやっぱりそれらしき描写は見つけられない。所謂ドンデン返しを狙ったのでしょうが、なにもないものをひっくり返してもそれはドンデン返しにはならないよなぁ。
殺された女性ではなく意識不明の女性のほうに大学生の弟(現在引きこもり中)がいるのですが、この弟がアニオタだけあって姉の身体に別の人間の意識が入っているという状況を「憑依」と称してわりとすんなり受け入れてしまうのは面白かった。属性的に「よくあること」ですもんね(笑)。
この弟にも物語がありそこも掘り下げて欲しかったんで、いっそこの弟の視点一本に絞って姉に対する感情と姉の中に入ってる女性への想いを描きつつ、そこから思いがけず事件の真相に辿りついてしまう・・・ってな話にしたほうがよかったんじゃないか、というか、それであればもうちょっと「仮面」の描き方がなんとかなったように思う。