染井 為人『悪い夏』

悪い夏

悪い夏

第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作。
生活保護の不正受給を巡り社会保険事務所ケースワーカーと受給者がどん底に向かってゴロゴロ転がり落ちる話です。私も大概底辺の人間ですが税金だけはちゃんと納めているのでこういう奴らにはとにかく腹立たしいの一言でムカムカしながら読み進めていたのですが、どいつもこいつもクズだし自業自得だしってんで最終的に全員まとめて転がってるというオチは投げっぱなし感はあるけどざまーみろとも思うものの、ゲイの上司だけは気の毒すぎる。この事件がどの程度表沙汰になったのかは描かれませんが、いずれにしても上司の責任問題になるんだろうけどこの上司ゲイってだけで上司としてはぜんぜんいい人ですからね。もちろんゲイは悪いことじゃないわけで。結局真面目に普通に働いている人間にあらゆるしわ寄せが回ってくるのが現実だとして(あと本当に生活保護を必要としてる人が受けられないことも)、上司にはいいことがあって欲しいと願わずにはいられない。