河合 莞爾『スノウ・エンジェル』

スノウ・エンジェル

スノウ・エンジェル

銀座のど真ん中で大量無差別殺人を行った男は、「天使様」と言いながら飛び降り自殺した。現場に残された新種のドラッグと思われるタブレットを押収した女性麻薬取締官は、ドラッグの元締めに近づき逮捕のための証拠を手に入れるべく顔見知りの刑事を通じある事情で死亡宣告を受け“この世に存在しない者”となった元刑事に協力を依頼する・・・という物語。
読みながら時々頭の隅っこで(なんかこんな話を読んだことがあるような・・・)という思いがよぎったのですが、この作品は「デビル・イン・ヘブン」に繋がる話だそうで、だからなんとなく記憶に引っ掛かるところがあったのか!と納得するも、読み終わるまでぜんぜんそのことに思い至らなかったとか私のポンコツ記憶力・・・・・・。
一応物語として決着してはいるものの、主人公自身の事情はなにひとつ変わらず俺の戦いはこれからも続くエンドだったりするので、中途半端というか投げっぱなしというか、え?これで終わり??ってなことを思ったわけですが、ここから「デビル・イン・ヘブン」に続くわけで、そして微かな記憶ではありますが確か「デビル〜」でも今作の主人公・神西明の状況はさして変わってなかったはず・・・ということはさらに続編があるのでしょうから、まさしく俺の戦いはこれからも続くってことでいいのか。
「デビル・イン・ヘブン」は現実味のある要素がありつつも近未来感があったのに対し「スノウ・エンジェル」はかなり現実と地続きに感じたわけで、「スノウ〜」で描かれている世界があっという間に「デビル〜」になってしまうのかと思うと恐ろしくなる。