佐藤 究『Ank:a mirroring ape』

Ank: a mirroring ape

Ank: a mirroring ape

初めての作家さんになりますが(あれ?なぜわたしこの方の乱歩賞受賞作を読んでないんだろう?)、完全なる帯買い。だって有栖川有栖東山彰良冲方丁と、この御三方の絶賛コメントを目にしたら手に取らずにはいられません!!。
なんといっても東山さんのコレですよコレ!
『壮大な殺戮の進化論。この圧倒的な皆殺しの歌を聴け!』
なんという殺し文句・・・っ!!!こんなこと言われて(書かれて)読まずにいられるわけがない・・・っ!!!。
とワックワクのテッカテカで読み始めましたが、まさにこの通りで震えました。まさしく「壮大な殺戮の進化論」で「圧倒的な皆殺しの歌」。
そして冲方さんが
『素晴らしい着眼点、構成、ドラマ。頁をめくるたびに断片がつながり、カウントダウンが進み、主人公たちの人生が立ち現われる』
と書かれている通り、構成が見事なんですよ。“京都で暴動が起きる”という始まりで、そこに至る過程であり道筋であり、そして人生が断片的に描かれていくのですが、時系列はバラバラだし視点となる人物も異なるのでとっちらかってしまいそうなものだけど、非常に理解しやすく、かつ冲方さんのお言葉を借りると「頁をめくるたびに断片がつなが」るんですよ。過去と現在が同時進行で描かれるので「カウントダウンが進み」ながら「主人公たちの人生が立ち現われる」のです。この構成とそれを成立させられる筆力は素晴らしい。
で、読むまえは有栖川さんの
『DNAがざわついた』
ってのだけは「???」だったんですが、読んでる最中もやっぱり「???」だったんですが、京都での暴動がなぜ起こったのか、それがなぜ人間にだけ発動するのか、それが解明されはじめるやいなや「D・N・A!!!!!」となる。主人公が書いたという論文、主人公が記者に託した真相、それらが何を語っているのか訴えているのかは正直しっかり理解できたとは言い難いのだけど、なんかガツンと来たのはきっと『DNAがざわついた』からなのだろう。
そして最後の最期、こうするしかないという選択でありこうなるしかないという結末。ここに主人公の過去がこういう形で絡むのかと。これぞ『小説』。すごくすごく面白かった。全力でおススメです!!!。