曽根 圭介『黒い波紋』

黒い波紋

黒い波紋

問題行動で警察を辞めさせられた男が30年近く前に女を作って母と自分を捨てた父が死んだと知らされ、遺品の中から私書箱に届けられている現金と犯罪の現場を録画したテープを発見する。そこから父親がしていたことを見抜き、もっと効率よく金をせしめるべく動き出す。一方恐喝されるは評判のよくないブレーンを抱える無能な二世議員で、かつて父親の右腕として表に出せない仕事を請け負っていた男が対抗勢力と協力し恐喝してきたと思い込むが、だがその男は先代の妻からこの件への対処を依頼され、先代に受けた恩に報いるべく既に動き初めていた。ってな話で、一見そうとは思えない人物も結局目的のためには手段を選ばなかったりするので所謂ノワールに属すると言っていいかと思うのですが、この手の作品にしては登場人物の平均年齢が高めで、二つの視点のうち片方は完全に「老人」であるところがイカす。