早見 和真『神さまたちのいた街で』

神さまたちのいた街で

神さまたちのいた街で

両親がそれぞれ違う宗教にのめり込み崩壊した家庭のなかで戦う兄が主人公で、妹と、これまた家庭に事情がある親友の存在を支えに「自分ではどうしようもないこと」に立ち向かう物語です。
作中で主人公たちが映画について触れていることだし、“僕らの七日間戦争”へのオマージュ作品でもあるのかな。
子供(未成年)の頃は経済的なことを筆頭に自力ではどうしようもないことが理由で戦っていたけれど、大人になったらなったで今度はまた違う理由で戦わなければならなかったりするわけで(だから主人公の両親は宗教というものを欲し縋ったわけで)、だから我慢するのは子供でいる数年だという親友でありそれを支えにする主人公に心が痛んでしまう瞬間があったりしたんだけど、そういう趣向だったのか!と驚いた作中作のタイトルが「神様たちのいる街で」であるのに対し作品のタイトルが「神様たちのいた街で」であること。はっきりとした結末は描かれていないけど、そこに希望がみえました。