柚月 裕子『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』

顧問弁護士時代、企業の権力争いに巻き込まれ結果的に弁護士資格をはく奪された女が専門知識を活かし犯罪以外ならば高額報酬で依頼を受ける何でも屋をやってますというありがちすぎる設定ですが、主人公にはたった一人の部下がいるんですよね。この部下がIQ140の東大卒でまぁなんでもできてしまう男というこれまた手垢つきまくりの設定なんだけど、主人公と部下の関係性、どんな過去を経て今のような関係になっているのか、ここがとても面白かった。それにこの部下ってもっといかにもな「萌えキャラ」になりそう(できそう)なところが、そういう意味では控えめな描写なのは柚月さんらしいなと思ったし、控えめであるからこそちらの想像力を掻き立てられ却って(もしかしたら作家の意図したところ以上に)萌えキャラになってるところもなかなかに面白かったです。