輪渡 颯介『溝猫長屋 祠之怪』

溝猫長屋 祠之怪

溝猫長屋 祠之怪

古道具に憑いてる幽霊よりも幽霊が見える子供たちのほうが話作りの自由度があるんだろうとは思うのですが、これなら皆塵堂シリーズでもよくない・・・?と思う気持ちは否めません。
タイトルにあるように猫いっぱいでてくるけど鮪助ほどの働きをする猫はいないわけでさ、何匹束になってかかっても鮪助さんの存在感には敵わないよなぁ・・・って寂しさが募ります。
あとやっぱり私は太一郎と巳之助の(ような)関係性が好きなんだよな。皆塵堂シリーズでもよくないか?ってのは裏を返せばこのシリーズ(化するつもりですよね?)でもいいじゃないかということでもあるんだけど、皆塵堂シリーズにあってこの作品にないのは太一郎と巳之助なんですよ。四人の子供にその可能性を感じられる気がするんで、その点は今後に期待するけど。
それとともに今作では岡っ引きの弥之助と元は剣術現在は子供たちに手習いを教えるお師匠さんである蓮十郎という皆塵堂シリーズにはいなかったタイプのレギュラー人物がいるので、この二人がこれからどう育っていくのかも楽しみ。
あ、あと犬!!。輪渡さんと言えば幽霊と猫だけど(もはや完全にそのイメージ)、このシリーズには野良太郎という身も蓋も名前(笑)のわんこがいまして、猫より犬派の私としては四人と並んで説教される野良太郎の場面だけで読んだ甲斐があるってなもんでした!。