深木 章子『猫には推理がよく似合う』

猫には推理がよく似合う

猫には推理がよく似合う

タイトルから受ける印象通り、コージーミステリーなんですよ。途中までは。弁護士事務所が舞台で、そこではまれに見る美猫(スコティッシュフォールド)が飼われていて、主人公はその猫の世話も業務に含まれる事務員として雇われるってな始まりで、そしたらなんとその猫・スコティは喋ることができて、但しその声が聞こえるのは主人公だけ。で、ミステリー小説を読むのが趣味の主人公に対しスコティは飼い主である弁護士先生と顧客たちを登場人物にしたミステリー小説のアイディアを聞かせるってなことになり、喋る猫・スコティとミステリー好きの女性が“猫が書いたミステリー小説”について“誰が犯人なのか(誰を犯人にすればいいのか)”を話しあうというちょっと変わった作中作・・・・・・としか思えないんだけど、これがもう・・・「マジか・・・・・・」としか言いようがない展開を見せるんです。そして犯人と動機の酷いこと。ミステリとしても感情の話としても酷すぎる。タイトルと中身のギャップを狙ったんだとしたら悪趣味だと私は思う。