長岡 弘樹『赤い刻印』

赤い刻印

赤い刻印

帯に書店員さんたちによる激賞コメントが寄せられていますが、それらに頷けはするんです。確かに「お見事」だし4編全て「秀逸」だとも思うんですが、それほど・・・・・・かなぁ?。
『傍聞き』から8年だそうですが(もうあれから8年も経ったのか・・・)8年の間長岡さんの作品を読み続けてきたので長岡さんが「巧い」ことはもう知ってる。長岡さんに対する信頼はもう確立されてるし、長岡作品に対するハードルも結構高いところに設置してる。今回もそれは余裕でクリアしてくれたけど、帯に書かれているまさに「激賞」の嵐は却って逆効果なんじゃないかなーという気がします。そんなこと言われなくてもわかってます!!って気持ちになっちゃう。この帯は長岡作品なら迷わず読むという私のような人間向けではないということは理解してますが、4編ともじんわりとした余韻の残る上品で上質な作品なのに、読む前から激賞コメントを見せられるとその余韻のなかに「だろ?」という誰かのドヤ顔が見える気がしてちょっと萎えてしまった。