『ゆとりですがなにか』最終話

白無垢で新郎目掛けてずるずる這い寄る新婦なんてものはそんじょそこいらの美人女優には出来ないだろうし(やったとしてもせいぜいが憐みもしくは滑稽さぐらいで、可笑しみも不気味さも出ないだろう)、「ゆとり」を掲げたこの三人のトリプル主演ドラマのヒロインが安藤サクラである理由を最後にもう一度ダメ押しされたわー。結婚式で「ブス」と言われまくるのをなんの抵抗もなく見ていられるヒロインなんてそうはいない。新郎が逃げたのも視聴者にしてみりゃブスが上司と寝たことが理由だって知ってるわけで、ブスは「今までで一番恥ずかしい思いをした」とか言ってたけど、いざ結婚を前にして不安やら心残りやらでモヤモヤしてるってのはわかるとしても(経験ないから共感はできないけど)、そこで上司とヤリましたってことをわざわざ言う必要はないわけで、なんで言ったかっつったら自分が“言いたかった”からなわけで、結婚式から新婦がトンズラってな状況はブスの自業自得なわけで、でもそこで「ザマーミロ」ってな気持ちではなく笑い・・・ともちょっと違うんだけど、そんな状況に置かれているヒロインに可哀想とかそういう感情を抱くことなく(ヒロインを気にすることなく)周りの人間がアレコレやってるのを笑って見ていられたってのはこの『ブス』を安藤サクラが上手いこと演じたからだよなー。
って、正和経由のまりぶとユカの再会が偶然にも程がありすぎてワロタw。正和が紋付き袴で自宅に尋ねてきた理由、一発殴らせろと言われた理由をわかってる、つまり完全に負い目があるのに(一発殴られるぐらい罰として受ければいいのに)早川が正和を追いかけた(だから正和は牛丼屋に逃げ込んだ)ことも含め、ここまで堂々と『ドラマ的偶然』を演出してくれると逆にすんなり受け入れられちゃうよなぁ。
早川で思い出した!!。
茜から早川とのことを聞かされて「早川ああああああああああああああ!」と絶叫する正和に
『ハヤカワってなに!?ミステリー??』
と聞くみどりな!!。
正和兄推しのわたしなのでみどりに対して嫉妬心があることは否定しませんが、でもみどりというキャラクターはそんなに嫌いじゃなくって、正和母が「みどりさんには内緒で」と茜にアクセサリーをあげるのもしっかりチェックしてるのとかほんとキライじゃなかったんだけど、「ハヤカワ」と聞いて「ミステリー」と答えるみどりに好意ガン増し。
でもおおきなお腹を正和兄に撫でられるのはやっぱり嫉妬だけど!!!!!。
ていうか産まれた子供にデレまくるお兄ちゃん見たかったけど!!!!!。
あとなんかよく分からん状況の中、戻ってきた正和と茜が仲直りしたと思ったんだか真っ先に拍手するゆとりに一瞬向けたまりぶの表情がすっごくよかった(ていうか、ゆとりはレンタルおじさんがお兄の結婚式に出てることについて、どう聞かされたのだろうか。ゆとりが勤務する旅行会社のカウンターに麻生家族が来るというカットがあったのはその時にレンタルおじさん=正和や山路と知り合い=まりぶの父親だと説明されたということなのだろうか)。
同僚を殴りおっパブ絡みで逮捕されたものの植木職人見習いとして復職させてくれたというのに、大学に入る(植木職人になる気はない)とかやっぱりまりぶもゆとりだよな・・・ではあったけど。
ていうかここ、合格通知かなんかを見せながら「これからすぐ就職活動」とか言ってたように聞こえたんだけど、ゆとりが“大学生活=就活”と言ってたのを意識しての発言か、それとも大学の入学試験に合格したことで長年の“受験生”という立場を終了し、今までの自分にケジメをつけこれからは妻子を養うべくまっとうな仕事につくための就職活動をするってことなのかどっちだろう?。どっちにしても、まりぶが復職したことに文句垂れる先輩弟子に「嫌ならよそに行け」と言ってくれる親方がサラっといいひとだったんで、この親方の元で植木職人目指して欲しいけど、でも見習いじゃ妻子養えないのかなー。
それから、山路のここまで引っ張った「性教育」もわざわざ時系列いじってまで見せるぐらいだから何かあるのかと思いきや、教頭にフォローしてもらったうえに最後は「他人の間違いを許せる大人になれ」(意訳)という性教育とは関係のない話になっちゃってて拍子抜け。正和と茜の結婚式ともうちょいリンクさせて欲しかったかなぁ。ていうかおっぱいを上手く描けないことよりも字が下手すぎて(笑)。
身体が成長して大人になっても心は迷うんですとかちょっといいこと言う山路からのーほんとに迷子になってるレンタルおじさんの図はいかにもクドカンだった(笑)。
山路はこれ、性教育の授業にかこつけてセックスしたかったのに、ダイゴ母→ダメ 悦子→ダメ で麻生に泣きついたものの、そのあと悦子にリベンジして見事DT卒業して付き合うようになりましたってことだよね?。うーん・・・・・・この女、ナチュラルビッチだと思うから初体験の相手というだけならいいかもだけど魔法使い目前までいった男が付き合う相手としてはどうかなぁ・・・?という気がする。浮気されて坂間夫婦に泣きつくのが目に見えるw。
で、正和は一発殴ってチャラにしたはずの早川課長のところへ“弱味”を利用してゆとりの民と名付けた酒を売り込みに行けるぐらいには図太くなったのか。まぁ茜ちゃんの入れ知恵でもあるだろうから、早川のことは二人の間で完全に「過去」になってるんだろうね。


最後まで見終えてもやっぱり何を描いてんだかよくわからなかった。キャラクターとか小ネタとか、点での面白さは両手両足じゃ足りないぐらいあげられるけど、線としては具体的にこうでこうと説明できないというか、「ゆとりですがなにか」と言われても結局それに対する自分なりの返答を見つけられることができなかった、というのが正直な気持ちなんだけど、それでも面白かった。
ゆとりだろうがゆとりじゃなかろうが、みんなわりとろくでもない感じなのが重版出来!よりもキャラクターの人間性が肌に馴染むというかw、気楽に見られたし。
主演の三人、特に柳楽くんは役者としての評価をしっかり高めたと思うんで、いい作品に巡りあえてよかったなという充実感がありますが、でももう毎週高橋洋さんを拝めなくなるのかと思うとちょっと辛い・・・・・・。