窪 美澄『アカガミ』

アカガミ

アカガミ

ある年代から下の世代、所謂若者たちは他人と関わることをせず、自殺志願者も年々増え続けている。恋愛という概念はなくなり、性行為を嫌悪する若者たちは当然結婚・出産することもない。そこで政府は「アカガミ」という制度を作り、希望者に研修を施しあらゆる条件を吟味し男と女を“番わせる”。番いとなった男女は国が用意した施設で共同生活を送り、まぐわい、そして妊娠を目指すこととなる。
こんな設定で、恋愛感情を持たなかったというより“知らなかった”女がかつて自殺しようとしたところを助けてくれた娼婦の勧めでアカガミに志願し、男と出会い、番いとなったことで自分の中に芽生えた感情に翻弄されながらも成長・・・なのかなぁ?まぁ変わっていく物語なんだけど、この女の視点で描かれているところまでは物語としての理解はできたんだけど、急に男の視点となったことで戸惑い、でもそこでそれまで男が感じていたこと、それは私も感じていたことだったので、そこを掘り下げていくのかと思いきやなんだかわからないところで物語がブツっと切れてしまってポカーン。ほんとブツ切りですもん。
このブツ切りこそがこの「アカガミ」というシステムの肝というか真実というか、そういうことだってことは理解できるんだけど、「ココ」で終わらせる意図が私には理解できなかった。
「子宮を使わないといずれ狂う」これにはちょっとドキッとしたけど。