
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2015/10/08
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (14件) を見る
そして火村は言うのです。ダークスーツの上に黒いトレンチコート、赤いストライプ柄のネクタイを相変わらずルーズに締めた火村が、ようやっと顔を見合わせて話を出来る環境で、二人っきりになったところで、
『刑事ごっこどころか、お前は本当によくがんばったよ』
と。
キタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!(ガッツポーズ)
この瞬間のためにつまらない前半を耐えてきたんだなと、「お前は本当によくがんばった」ってのは私に対しての言葉なのだと、思わず震えました。
火村本格参戦以降は関係者間の関係性がどんどんと明らかになり、でも事件の真相はなかなか見えず、そこへ現れた男が書いた「手紙」によってついに鍵が開かれ、あとはもう火村の推理を聞くだけといういい意味で「いつもの」火村シリーズで、あれもこれも伏線だったのか!と思うとともに(推理のための伏線も結構あったけど・・・)、そこにある友人への複雑な感情には頷けるところもあったりして、さらに火村もまた「鍵の掛かった男」であるというまさに火村シリーズならではの締めで満足。終わってみれば前半の焦らしプレイがあったからこそのこの充実感なのだなと。