恩田 陸『消滅』

消滅 - VANISHING POINT

消滅 - VANISHING POINT

超大型台風が迫る中、空港の入管で止められた11人。どこからともなく現れたコーギー犬と共に一室に集められ、この中にテロリストがいると聞かされた11人による推理合戦が始まる。
新聞で連載されていたものの単行本化だそうですが、毎日ちょっとずつ読んでいたらどうなるんだろう?というワクワク感があったかもだけど、一気に読むとなんか間の抜けた印象だなぁ。緊迫感皆無だし。
まぁそれは新聞紙上での連載だから気楽に読めるようにとあえてのコメディタッチだと思うのですが、シチュエーションに対してあまりにものんびりしすぎ。
それに「11人」もさして魅力がない。一応の描き分けはなされてますが、それぞれの顔が全然見えてこない。この人物はどういう人間なんだろう?という興味を誰一人抱けない。終わってみれば最後で明かされる真相のためにそれぞれの視点で描くことをしなかったと解るけど、こういうタイプの作品で登場人物に魅力を感じないってのは致命的。ヨハンというキャラクターを生み出した恩田さんにしては、これはちょっと残念すぎた。