大門 剛明『JUSTICE』

JUSTICE

JUSTICE

なんとなく手に取った初めての作家さんです。
日本有数の弁護士事務所の創設者であり刑事事件専門の「ルーム1」のリーダーであったカリスマ弁護士が急死し、その穴を埋めるために娘が海外から呼び寄せたのは元医師の弁護士・鷹野。合理化を掲げる鷹野のやり方に反発し次々と所属弁護士が辞めていく中、残った者たちは鷹野の元で案件に立ち向かう。
主人公が元医者であることは物語の縦軸に関わるのでいいとして、父親のコネで入所した娘と元裁判官はともかく元警察官とか元ニートとか、鷹野曰く「ブレーメンの音楽隊」のようなルーム1メンバーの背景設定こそ現実味がないものの、内容は地に足のついたリーガルミステリーでした。ルーム1の面々がそれぞれメインとして案件に挑む連作短編集なので、その中でそれぞれのキャラもしっかり描かれ、加えて他ルームとのパワーゲームのようなものもあったりして、なかなか面白かった。
俺達の戦いはこれからだ!的な終わり方なんで、続編が出たらぜひ読みたい。